2026/03/03 15:25

窓の外を、静かな雨が叩いています。
誰かが「恵みの雨だね」と呟くのが聞こえました。
きっと庭の草木を想ってのことでしょう。
けれど私にとっては、もう少し切実な、物理的な意味での「恵み」でした。
少し前まで街を覆っていた、あの琥珀色の粉。
春の息吹であるはずのそれが、いつの間にか自由を奪う「凶器」のように感じられていた日々。
雨粒がそれらをひとつずつ、丁寧に、アスファルトの隅へと押し流していきます。

腫れていたまぶたをゆっくりと持ち上げ、
ようやく、肺の奥まで空気を吸い込む。
雨音が痒みを鎮め、世界が潤いに縁取られていく感覚。
それは、私にとって「本来の自分」に戻るための、大切な儀式のような時間でした。
洗い流される、静かな抵抗
天からの滴が
琥珀色の粉を 街から奪っていく。
流されるのは
花の命の かけらか
私の 止まらない涙か。
雨音が 痒みを鎮め
世界が 潤いに 縁取られる。
『Free-Form』が提案したいのは、そんな雨上がりの静寂に似た、何気ない自由です。
主張しすぎるトレンドではなく、
着る人の呼吸を邪魔せず、ただそこにある背景。
雨が降って、街が洗われ、また新しい気持ちで外へ踏み出すとき。
そこにそっと寄り添えるような、そんな装いでありたいと願っています。
今日は少しだけ、長く、深い呼吸を。
皆さまも、穏やかな雨の日をお過ごしください。
